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DVを見て育った子供が、やがて陥る2つのパターン
夫からの暴力DVから逃れた女性が、今度は子どもから夫と同じように罵詈雑言を浴びせられる。
子どもという、もう一人の小さな夫の存在に苦しみ、途方にくれるという話は珍しくありません。
夫からの精神的・肉体的暴力(DV)を 見て育った子どもは、次の2つに分かれるように思います。
1.被害者になる
母親と同じように理不尽な暴力を 受けてしまうパターン。
2.加害者になる
父親と同じように、 母親や家族に 暴言・暴力を振るってしまうパターン。
父親が母親に暴力を振るい、母が抵抗すればするほどエスカレートしていく。
徹底的に痛めつけられる母の姿を見た子どもに、どんな影響を及ぼすでしょう。
母親は父親に反抗すべきではない。
言われたとおりにしないから暴力を振るわれたのだ。
そんなメッセージが暗黙のうちに伝わってしまう。
母親という存在は、子どもの言いなりになるべきだし、そうならない場合は傷つけても良い。
無意識に学習してしまうのです。
一般的には、男の子は父親を無意識に模倣してしまうことが多く、パターン2に陥りやすい。
女の子は母親を模倣して理不尽な暴力を受ける、パターン1に陥りやすいと言われています。
比率からすれば、そうかもしれませんが、 実際のところは性別に関係なく、 両親のどちらかの影響を受けます。
子どもに実際に手を出さなくても、夫婦間の暴力を見ているだけで、 脳が萎縮しているのです。
例えて言うなら、たばこの受動喫煙みたいなものですね。
子どもの前で夫婦間のケンカや暴力を見せると、まるで子ども自身が暴力を受けているのと 同じ影響を受けるのです。
被害者だった子どもは、自由が手に入る時期が来ると、一気に相手を支配し始めます。
被害者が加害者に変わる瞬間
そうやって育った子どもがやがて大人になり、自分にも子どもができると、その矛先が弱い子どもに向けられます。
生まれて初めて、自分の言う事を何でも聞いてくれる存在が現れたのです。
自分が、その子の何もかもをコントロールできる絶対的な立場になったと錯覚してしまうんですね。これまでずっと押し込めていた感情や、これまでされてきたことが、 一気に出てしまう。
「親と同じ事は絶対しない」と決めていても、繰り返してしまうことがあるのです。
そしてまた、その子どもが大きくなるとどうなるか?やはりこの連鎖は続いてしまうでしょう。
だからこそ、あなたが止める必要があります。
このページにたどり着いたあなたは、この連鎖を止めるという使命を背負ったのです。
あなたと子どもが幸せになるには、どうしたらいいのか?何が必要なのか?考える時が来たのです。
NHK『面前DVの被害”子供を守れ”』17歳の少年
では、ここから2014年に放送されたNHKの番組『 DVにさらされる子ども達―見過ごされてきた“面前DV”の被害「子どもを守れ」』で紹介された事例をもとに、掘り下げていきましょう。
夫婦間のケンカや暴力をふるう姿を子どもに見せることを「面前DV」と言うそうです。この面前DVの被害児童は 全国で8,059人。潜在的なケースも含めると、もっと多いはずです。
面前DVの子どもの脳を調べると、脳の一部が萎縮していることがわかりました。
その影響で、知覚的な記憶力や意識や記憶が飛ぶ というようなことが起こるわけです。
直接暴力を受けなくても、見ているだけで影響がある、ということが証明されていました。
その影響は幼児期だけに終わらず、学童期から壮年期にまで及ぶのですが、先に説明した被害者パターンと加害者パターンがあります。
まず、被害者パターンの特徴で言うなら、母親が無抵抗に暴力を父親から受けているのを見ることで、子どもも同じようにいじめなどの暴力を、 無抵抗に受けてしまいがちになるということ。
そして加害者パターンで言うなら、面前DVの被害者だった子どもが、 青年期になって、DVをしてしまうという点。
この2つのパターンは、番組の中で実際に17歳の少年が話していた体験談です。
小さい頃、父親が母親に振るう暴力が怖くて怖くて 部屋の隅でずっと震えていたのだそう。父親に対する恐怖の奥に、強烈な怒りがあり 「いつかぶっ殺してやる!」 そんな思いがあったとか。
両親は離婚し、父親に対する怒りは、いつしか矛先を変え、自分の家族に。父親と同様に激しい怒りを、はけ口として出していたのです。
母親はその姿を見て、別れた夫と重なるわけです。荒れ狂う息子を見て、「この子もあの人と同じなんだ…」と 無力感に襲われていました。
ところが、この息子さんは自分を変えようと、DV更生プログラムを受けることにしたのです。
自分のこれまでの気持ちを 正直に家族に話すくだりは、視聴していて胸が苦しくなりました。
もちろん、いきなり大変身はできません。
それでも一歩一歩、前進しようとしている姿には、エールを送らずにはいられません。
未来ある子供をDVの被害者にも加害者にもしたくない
未来ある子どもを DVの被害者にも、加害者にもしたくない
そのためには子育てに甚大な影響を持つ 女性の役割は大きいですよね。
だからこそ、私は 声を大にして言いたい!
DVを引き起こしてしまう、そもそもの原因
「私がわるいんだ」 「私が間違っているから仕方ない
こういった自己肯定感の低さや、自信の無さが、世代間に連鎖し、子ども達の悲劇を生んでいると、一般的には考えられがちです。
もちろんそれを全て否定はしませんが、むしろ「私が悪い」「私が間違っている」という自分を責める思いに隠れた思いがあるはずなのです。
何か?
親ならこうして当然だろ!
親ならこれくらい出来てアタリマエ!
子どもの幸不幸は全て親の責任なんだ!
これら親に持った「完璧性」を求める思いです。
この親に持った完璧性という高い要求と、それが得られなかったことへの「怒り」です。
でも本人はこれが高い要求であるとは思えない。むしろ「これくらい当然じゃない」と思っているはずです。それこそが「高い要求」を持っている証拠でもあるのです。
親が悪かったのだ、親が未熟だったのだ、こういって親のせいにしていれば、一瞬は気分がいいかもしれません。自分が悪くないんだって思えるからね。
でも、仮に親が謝ったらそれで満足なのでしょうか?
今の自分が不幸なのは、全部お父さんが悪かったの、と言ってもらったら、人生が変わるのでしょうか?
違いますよね。
むしろ過去のことは過去のこととして受け止めながら、そこから自分の未来をどう創って行くのかを考えること。被害者意識から抜けだし、自分の幸せの責任を自分が負うこと。
こっちのほうが、ずっと大切なことなのですよ。
親の責任にしている間は、自分は何も動かずに済むのです。
自分の幸不幸の責任を親のせいにしていても、人生何一つ変わりませんからね。おまけに被害者でいると、いろんなことから免除されたり、優しくされたり、関心を得ることが出来ますから、とってもラクだったんですよ。
そんなことをしていては「被害者」というポジションから抜け出せなくなってしまう。
「被害者」は可哀想な人ではなくて、被害者ポジションはある意味、ラクで美味しいのです。
DV連鎖は自分の所で止められます。もう、悲しい目をした子どもを増やす必要もないのです。
あなた自身が、自分に約束してください。もう、自分のことをチカラの無い存在だと思わないこと。自分の人生の責任は自分で負うということを。
そして何より、自分を幸せにするのは自分しかいないのだ、ということを。
それが認められたら、もうそんな被害者ポジションから半分は抜けています。
幸せになる勇気が持てないのなら、番組の中でも言われていたように、専門家の手を借りてでも前進しましょう。
目を背けず、向き合うことが大切だと思います。番組の中で、17歳の少年はプログラムを受けるのが「怖い」と言ってました。これまで見ようとしていなかったものを見るというのは、とても勇気のいることです。
でも、これを先送りしたって何も変わりません。むしろ、恐怖は増す一方。
一歩踏み出したこの少年が、家族の愛と、幸せに生きることへの喜びを感じられる日が来ると信じています。
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