親のせいにしている自分がイヤ
セミナーで参加者の方が言われる言葉で多いのが
「親のせいにしている自分がイヤ」です。
確かに自分の問題を
誰かのせいにするのは、違いますね。
でも幼かった子ども時代に、
それをそのまま当てはめるのは、
あまりにも乱暴というもの。
自分をどうやって守ればいいのか、
その術をしらなかった子ども時代なのです。
その時に大人からされたことについては
「あなたには責任がない!」と断言していいのです。
もちろん親は積極的に
子どものあなたを害そうと思ったわけではないでしょう。
ただ親自身の心が未熟だったせいで、
自分の感情の持って行き場が、
すべてあなたになってしまっていたのなら、
そこにあなたの責任は無いのです。
あなたが責任を負うのは、大人になったあなたに対して
あなたが責任を負うのは、
大人になってからのあなた自身に対して。
これは全面的にあなた自身に責任があるのです。
もし今、
あなた自身が問題を抱えているのであれば、
それは大人のあなた自身の責任として、
問題に取り組み、解決していく努力が求められる。
そこで「親のせいにしてはいけない」と言いながら、
何の対策も講じず、
パートナーに自分の問題を押し付けたり、
嫌な相手から逃げてばかりいるのであれば、
それこそ大人のあなたが、
自分の人生に責任をとっていない、ということ。
私がセミナーやこのメルマガで
一貫して言っていることは
「自分の人生の主人公になる」ということ。
誰かに自分の人生の責任を負わせたり、
はたまた誰かの人生の責任を
自分が負うのではなく、
自分の人生の幸せに自分が責任をとる生き方をする、ということです。
心の回復のプロセス
そのためには
これまで自分が置き去りにしてきた感情に
向き合っていく作業が必須になります。
それまであまり意識してこなかった
「怒り」や「悲しみ」「不安」などに
気付くことになるでしょう。
これまでそんな感情に
向き合ってこなかった人にとっては、
居心地の悪さを感じるかもしれません。
でもそれこそが避けては通れない、
大事な心の回復のプロセスなのです。
そしてこの心の回復のプロセスは、
人と比べるものでなく
自分のペースをしっかり守りながら進めていくこと。
早さを競うのではなく、
一歩でも前進することが何より大事なのです。
そして
無意識のまま影響を受け続けている
過去を「今」に変えていき、
自分自身を解き放ってほしい。
正々堂々と自分の人生を歩んでほしいのです。
Uさんの感想から
このお話をさせていただいた後、
Uさんという方から感想を頂きました。
(前略)
私は自責感が強く、その理由は何かと思った時、
母とのことを思い出さずにはおれません。
小さい頃から母は祖父との折り合いが悪く、
母から祖父がから言われた辛辣な言葉の数々を聞かされていたことで、
祖父は「母をいじめる悪い人」で
母は「可哀想な人」といつの間にか思い込んでいたのです。
そして何でも世話を焼いてくれた母の事を、
私はいつの間にか女神のように美化していたことに気づきました。
離婚話が持ち上がった時に、泣いて「やめて」と言った私の言葉を受けて
離婚を思いとどまった、という母は決して幸せそうではありませんでした。
あのとき私が離婚を止めずにいたら、
こんな母を苦しめることは無かったのかもしれない。
そもそも私が生まれたことで
母をこんな苦しめてしまったのではないか。
この思いが私の奥深くにある自責感なのだと、気付くことが出来ました。
これを私は手放していきたいです。
Uさん、ブログでの紹介許可をありがとうございました。
さて、皆さん読んで見られて如何でしたでしょうか。
深い自責感を持っておられることを感じますね・・・。
この方は子どもの頃、
自分が言った一言で
「母親が不幸になっている」と思い込んでしまったワケですね。
でもね、ハッキリ言うと、
離婚を思いとどまったのはお母さんの意思なのです。
あなたの責任ではない、ということなんですよ。
もちろん、あなたの言葉は
きっかけにはなったかもしれない。
でもそれを選択したのはお母さん。
そして不幸であり続けているのも、
お母さんの責任なのです。
更にいうと、不幸そうに見えているのは、
もしかしてこれは思い込みかもしれませんよ。
なぜなら「可哀想な母」という
メガネをかけてみているので、
母を見ると「不幸そうに見えていた」
という可能性は多いにあるのです。
セッションでこういう思い違いを発見したかたは、
沢山おられます。
ちゃんと吐き出すことが大事
とはいえ、
幼いころのこのような体験や感情は、
心の奥に澱のように溜まっているもの。
これをちゃんと認めて、吐き出していくこと。
これがとても大事なのです。
親に対して、ではないですよ。
安全な場で、安全な人に対して、ですね。
まず傷に気が付き、
そのとき出せなかった感情や気持ちを吐き出していく。
それが出来たときに初めて
「思い違いだったかも」という視点が受け入れられるんですね。
吐き出すことなしにそれをやってしまうと
「なんちゃって」で終わってしまうのです。
「なんちゃって」というのは、
この場合だと
いつまで経っても心の中に自責感が残り、
自分だけが幸せになると
申し訳ない気持ちに押しつぶされてしまうってこと。
なので、そのときの自分の傷を
ちゃんと救ってあげることなのです。
キチンと吐き出してあげる。
ここでハッキリさせておきたいことは、
体験や感情を吐き出していくのは、
なにも「親が悪い」ということを言いたいがため、ではありません。
吐き出すのは、
自分の人生を変えていくための、プロセスであり、
自分を癒し、
今抱えている問題に対して
解決する具体的な「はじめの一歩」なのです。
仮に親を追及し謝罪してもらったとしても
「今更何を」という思いが出てくるでしょう。
それに現実は何も変わらないのです。
そうではなく、
自分が親との関係で身につけてしまったパターンを、
自分で修正していくしかないのです。
そして
自分の本当の力と自信を取り戻すこと
なのです。
体験や感情を押しこめるでもなく、
無いものにするのでもなく、
きちんと救ってあげて、吐き出していく。
そうやって自分の人生の責任をとっていくことが、
大人としてのあなたが取るべき責任だ、ということですね。